交通事故の損害賠償について~その4

弁護士の田中浩登です。

今回は「交通事故の損害賠償について~その4」として、「将来介護費」についてお話をさせていただきます。

今回お話をする将来介護費は、交通事故の賠償としてはかなりレアケースのものになりまして、相当重度な後遺障害が認定された場合の賠償項目となります。

「医師の指示または症状の程度により必要があると認められた場合」という条件付きですが、交通事故によって残ってしまった後遺障害のせいで介護が必要となった被害者のために、今後かかり続ける介護費を「将来介護費」として賠償を求めることができます。

職業付添人がつく場合にはその実費が、近親者付添人が介護する場合には1日につき8000円が賠償の対象となります。

例えば、交通事故によって後遺障害が認定され「常時介護が必要」と判断されているような場合には、将来にわたってかかり続ける介護施設における施設費用が、自宅で介護を行う場合には職業付添人による介護費用が、賠償の対象になると考えられます。

金額としてもかなり高額になる傾向があるので、もし将来にわたって介護が必要になると見込まれる場合には、「将来介護費」の賠償を求めることを忘れないようにしてください。

次回は、交通事故の損害賠償における「通院付添費」についてお話させていただきたいと思います。

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交通事故の損害賠償について~その3

弁護士の田中浩登です。

今回は「交通事故の損害賠償について~その3」として、「将来治療費」についてお話をさせていただきます。

まず、交通事故の損害賠償の対象となるのは、原則として事故に遭ってから「症状固定日」までとなります。

症状固定日とは、交通事故による怪我の症状が完全に治ったかまたは一進一退の状態になりこれ以上の改善が見込めないと医師が判断した日を言います。

交通事故の怪我のせいで後遺障害が残ってしまって、その治療のために通院をしていたとしても、基本的にはその治療費は賠償の対象外であり、自己負担となるのが原則です。

もっとも、重度の後遺障害が残ってしまい、今後確実に治療費がかかる蓋然性があり、その金額について根拠をもって提示できる場合には、「将来治療費」として相手方に賠償を求めていくことが可能です。

具体的には、交通事故によって寝たきり状態になってしまい、医師からも今後回復する可能性はないと判断されているが、今後1か月1回必ず診察を受ける予定がある、といった場合には、将来にわたってかかり続ける治療費が賠償として認められる余地があります。

次回は、交通事故の損害賠償における「将来介護費」についてお話させていただきたいと思います。

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交通事故の損害賠償について~その2

弁護士の田中浩登です。

今回は「交通事故の損害賠償について~その2」として、「治療費」についてお話をさせていただきます。

交通事故によって、怪我をしていまい、その治療のために病院や接骨院等の医療機関にかかった場合には、その治療費は損害賠償の対象となります。

多くのケースでは、加害者側の保険会社が「一括対応」という形で、直接医療機関に対して治療費の支払いをしてくれます。

もし、相手方保険会社が支払いをしてくれていないケースでは、相手方保険会社に対して後ほど賠償の請求を行う必要がありますので、必ず領収書等を保管するように気を付けてください。

交通事故の治療としては、整形外科、接骨院・整骨院等の通院は特別な事情がない限り賠償の対象となります。

一方で、心療内科への通院は、同乗されている方が亡くなられてしまった等相当な事情がない限りは交通事故と因果関係のある治療とは認められづらいといえます。

いずれにしても、医療機関での通院を始める前には治療費を対応してくれる相手方保険会社に通院をする旨を伝えてから治療を始めるよう気を付けてください。

次回は、交通事故の損害賠償における「将来治療費」についてお話させていただきたいと思います。

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