交通事故の後遺障害について~その12

弁護士の田中浩登です。

今年も残すところ数日になりましたね。

今回は「交通事故の後遺障害について~その12」として、後遺障害逸失利益の計算において重要となる、労働能力喪失期間についてお話をさせていただきます。

後遺障害逸失利益を計算するにあたっては、①基礎収入、②労働能力喪失率、③労働能力喪失期間の3つの要素が重要となります。

①、②は前回ご説明させていただいたので、今回は③労働能力喪失期間についてお話します。

労働能力喪失期間とは、後遺障害が残ってしまったことにより、文字通り労働能力が失われてしまう期間はどれくらいか、という計算要素です。

後遺障害というのは、基本的には一生残ってしまう症状について認定されるものになりますので、67歳までの期間が労働能力喪失期間と考えるのが原則となります。

もっとも、むちうち症状については、一生症状が残るものの、徐々に馴化するとの考え方から、12級の場合で10年程度、14級の場合で5年程度に期間を制限して考えるのが裁判所の考え方となっています。

裁判においては、具体的な症状において適宜判断されるべきものとなっているので、丁寧な証明が必要な事項となります。

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交通事故の後遺障害について~その11

弁護士の田中浩登です。

今回は「交通事故の後遺障害について~その11」として、後遺障害が認定された場合の後遺障害逸失利益についてお話をさせていただきます。

後遺障害逸失利益は、交通事故により後遺障害が残ってしまい、その症状によって今後の仕事等に影響が出ることへの補償としての賠償項目です。

後遺障害逸失利益を計算するにあたっては、①基礎収入、②労働能力喪失率、③労働能力喪失期間の3つの要素が重要となります。

①基礎収入は、原則としては、事故前年度の年収が使われることになります。

ですので、事故前年度の年収を源泉徴収票や課税証明書、あるいは確定申告書によって証明することが必要となります。

②労働能力喪失率は、後遺障害が残ってしまったことにより、どれだけの労働能力が失われてしまったかを示すもので、原則としては、認定された等級に基づいて喪失率を定めることになっています。

例えば、事故によって寝たきりになってしまい、常時介護が必要な状況で後遺障害等級が別表Ⅰ1級1号として認定された場合には、労働能力喪失率は100%となります。

一方、事故によって首や腰に他覚所見のないむちうち症状が残ってしまい、後遺障害等級が14級9号と認定された場合には、労働能力喪失率は5%となります。

次回は、後遺障害逸失利益を計算するにあたっての「③労働能力喪失期間」についてお話させていただきます。

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交通事故の後遺障害について~その10

弁護士の田中浩登です。

今回は「交通事故の後遺障害について~その10」として、後遺障害が認定された場合の賠償についてお話をさせていただきます。

後遺障害が認定された場合、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益というふたつの項目について相手方に対して請求をしていくことができます。

まずは後遺障害慰謝料について。

後遺障害慰謝料は、交通事故により後遺障害が残ってしまったことについての精神的苦痛に対する補償としての賠償です。

精神的苦痛の感じ方は当然、個人によって異なるものではありますが、交通事故の賠償においては、認定された後遺障害等級に応じて後遺障害慰謝料の金額は決められています。

もっとも、弁護士が介入していない場合の自賠責保険での最低限の補償基準での後遺障害慰謝料と、弁護士に交渉を依頼した場合の裁判基準での後遺障害慰謝料とでは大きく金額が異なります。

後遺障害が認定された場合には、後遺障害慰謝料を増額するためにもぜひご相談をください。

次回は、後遺障害が認定された場合のもう一つの賠償項目である後遺障害逸失利益についてお話させていただきます。

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