ついこの前まで暑かったのに、東京ではこのところ急に冷え込む日が増えてきました。
毎年この時期になると、出勤時に何か羽織るべきか、それとも薄手のニットを着るかなど悩んでしまいます。
前々回まで、示談に関するお話として、「絶対に示談書は焦って返送してはいけない。」ということお話しさせていただきました。
今回は、「相手方保険会社が提示してくる示談書の金額はなぜ低いのか。」についてお話しいたします。
初めに申し上げると、相手方保険会社等から提示される示談書に記載されている損害額の算定は、多くの場合弁護士基準(裁判所基準)で計算しなおすと増額が可能です。
(通院回数が数回程度しかない場合、過失割合が非常に大きい場合、治療中にまた別の事故に遭ってしまった場合などは、例外的にあまり上がらないケースもあります。)
このように聞くと、「計算しなおすと損害額を増額できるということは、保険会社は違法な低い金額を提示しているのか?」と憤慨されるご相談者様はたくさんいらっしゃいます。
実を言うと、確かに保険会社の提示する金額は適正金額よりも低いことが多いですが、それが直ちに違法というわけではないのです。
原動機付自転車や自動車による事故の場合、自動車損害賠償保障法(自賠法)によって最低限度の支払基準(いわゆる「自賠責基準」です)が定められており、それを下回る基準での支払いは違法となります。
一方で、自賠責基準と同じかわずかでも上回ってさえいれば、「適正な金額」ではなくても「違法な金額」ではないので、営利企業である保険会社は少しでも損害賠償金の支払い金額を減らすべく、その間を狙って示談を求めてくるというわけなのです。
次回は、この最低限の基準である「自賠責基準」について詳しくお話しします。