弁護士の田中浩登です。
今回は「交通事故の後遺障害について~その11」として、後遺障害が認定された場合の後遺障害逸失利益についてお話をさせていただきます。
後遺障害逸失利益は、交通事故により後遺障害が残ってしまい、その症状によって今後の仕事等に影響が出ることへの補償としての賠償項目です。
後遺障害逸失利益を計算するにあたっては、①基礎収入、②労働能力喪失率、③労働能力喪失期間の3つの要素が重要となります。
①基礎収入は、原則としては、事故前年度の年収が使われることになります。
ですので、事故前年度の年収を源泉徴収票や課税証明書、あるいは確定申告書によって証明することが必要となります。
②労働能力喪失率は、後遺障害が残ってしまったことにより、どれだけの労働能力が失われてしまったかを示すもので、原則としては、認定された等級に基づいて喪失率を定めることになっています。
例えば、事故によって寝たきりになってしまい、常時介護が必要な状況で後遺障害等級が別表Ⅰ1級1号として認定された場合には、労働能力喪失率は100%となります。
一方、事故によって首や腰に他覚所見のないむちうち症状が残ってしまい、後遺障害等級が14級9号と認定された場合には、労働能力喪失率は5%となります。
次回は、後遺障害逸失利益を計算するにあたっての「③労働能力喪失期間」についてお話させていただきます。