交通事故の後遺障害について~その9

弁護士の田中浩登です。

今回は「交通事故の後遺障害について~その9」として、症状固定後に被害者がしておくべきことについてお話をさせていただきます。

交通事故としての通院は、医師に後遺障害の診断書を書いてもらった症状固定日に終了することになります。

後遺障害の診断書を書いてもらったらあとは後遺障害の認定結果を待つだけ……では実はありません。

後遺障害診断書を書いてもらった症状固定日以後も、交通事故の被害者はしておくべきことがあります。

それは、通院していた病院への継続的な通院です。

症状固定日で交通事故としての通院は終わることになるため、症状固定日以後の通院は基本的に自己負担での通院になります。

自己負担にもかかわらず、なぜ通院を継続する必要があるのか。

その理由は2つあります。

1つは、後遺障害認定機関が通院先の病院に医療照会をする可能性があるからです。

後遺障害はずっと症状が続くからこそ認定されるべきところ、自己負担になったとたんに通院を終了していたとしたら、本当は症状がのこってないのではないかと疑われてしまいます。

もう1つは、認定されなかった場合の異議申し立てのためです。

症状固定後も通院を継続しており、痛みが残っているという診断書は異議申し立てにおける「新しい医学的証拠」として使うことができるので、認定されなかった場合に不服申し立てをすることができるのです。

次回は、後遺障害が認定された場合の賠償についてお話します。