Q&A
取締役をしているのですが、自己破産をするとどうなりますか?
1 委任契約終了による退任
取締役は、会社との間で委任契約を締結しています。
そして、自己破産をすることは委任の終了事由に該当するため、自己破産することによって会社との委任契約は終了し、それにともなって取締役の地位は自動的に退任ということになります。
しかし、自己破産することは取締役であることの欠格事由ではないため、株主総会の決議によってすぐに再度取締役に就任する(会社と委任契約を締結する)ことは可能です。
この点は、警備員や生命保険募集人のように、自己破産が欠格事由とされているケース(復権するまでその職に就けない)とは大きく異なるため注意が必要です。
なお、かつての旧商法では、警備員や生命保険募集人と同じように、取締役についても、自己破産が欠格事由とされていました。
現在の会社法では、取締役の欠格事項に自己破産したことが含まれていないので、自己破産した場合でも取締役や代表取締役になることが可能です。
2 会社に対する責任
取締役が自己破産しても、会社や会社の債権者に個人の財産を奪われることはありません。
取締役といっても、自己破産することで会社に対して特別な責任を負うわけではないということになります。
3 再度取締役となる際の現実的な問題
上述したとおり、自己破産により一度退任することにはなりますがすぐに取締役に再任することが法的に可能です。
もっとも取締役に再任したとしても、社会的信用力は落ちてしまいます。
取締役の場合に限りませんが、自己破産をすると信用情報機関(ブラックリスト)に登録されてしまいますので、5年ないし7年間は与信審査で不利となり、クレジットカードを新たに作ることや銀行から融資を受けることも困難になります。
取締役が自己破産しても、会社の信用が直接失われるとは言えないものの、代表取締役が自己破産した場合は会社の信用が失われることもあり得ます。
一人会社あるいはごく小規模の会社に対して金融機関が融資する場合、銀行は会社というよりも代表取締役個人の信用情報を調査して融資の判断をしているので、代表取締役がブラックリストに載っていると判明すれば、融資を受けられない可能性があります。
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