高次脳機能障害と後遺障害認定要件
1 高次脳機能障害とは
高次脳機能障害とは、脳卒中や交通事故による頭部外傷といった脳へのダメージにより、認知障害や行動障害、人格変化といった症状が後遺障害として残ってしまい、就労や生活が制限されて、時には社会復帰が困難となる障害を総称する症状をいいます。
主な症状としては、失語、半側空間無視、記憶障害、注意傷害、遂行機能障害、社会的行動障害などがあります。
2 高次脳機能障害の後遺障害認定要件
⑴ 認定に重要な3つの要素
交通事故により生じた高次脳機能障害が後遺障害と認定されるための判断材料として、①頭部外傷後の意識障害の所見があること、②頭部外傷を示す傷病名が診断されていること、③②の傷病名に対するCT、MRIの画像所見があること、の3つが挙げられることがあります。
⑵ ①頭部外傷後の意識障害等の所見があること
事故後に昏睡または半昏睡で開眼、応答しない状態(JCSが3桁、GCSが8点以下)が少なくとも6時間以上継続した場合、もしくは健忘症あるいは軽度意識障害(JCSが2桁~1桁、GCSが13点~14点)が少なくとも1週間以上継続した場合は、高次脳機能障害を残すことがあるとされています。
JCS(ジャパン・コーマ・スケール)やGCS(グラスゴー・コーマ・スケール)とは、意識レベルを判定する基準のことです。
JCSは覚醒の程度によって分類したもので、数値が大きくなるほど意識障害が重いことを示しており、刺激しないでも党醒している状態は1桁の数字、刺激すると覚醒するが刺激を止めると眠り込む状態は2桁の数字、刺激しても覚醒しない状態は3桁の数字で表現します。
GCSは開眼、言語反応、運動反応の三つについて点数化をして表したもので、点数が低いものほど意識障害が重いことを示しています。
15点満点(正常)で、最低点は3点(深昏睡)となり、一般に8点以下は重症として取り扱われます。
⑶ ②頭部外傷を示す傷病名が確定診断されていること
脳挫傷、びまん性軸索損傷、急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下血腫、脂肪塞栓による低酸素脳症のいずれかの傷病名が診断されていることも重要です。
⑷ ③上記⑶の傷病名に対するCT、MRIの画像所見があること
受傷直後の脳内の点状出血痕などのびまん性軸索損傷を示唆する画像所見、脳挫傷や頭蓋内血腫などの局在性脳損傷を示す画像所見、脳室拡大や脳萎縮の画像所見が重要です。
3 高次脳機能障害についてお困りの方は
交通事故により、高次脳機能障害になってしまった方およびそのご家族の方は、弁護士法人心までご相談ください。
高次脳機能障害に該当するのかどうかというのは非常に専門的な判断になるため、高次脳機能障害を含む後遺障害の取り扱いが十分な弁護士でないと十分なサポートを行うことが難しいものになります。
弁護士法人心では、高次脳機能障害を含む後遺障害の認定機関にもともと勤めていたことのある後遺障害チームのスタッフと交通事故を集中的に取り扱う交通事故チームの弁護士が協力して、高次脳機能障害になってしまった被害者のサポートをさせていただいております。
高次脳機能障害ではないかとお悩みの方およびそのご家族の方は、ぜひ遠慮なく弁護士法人心までご連絡ください。
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