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交通事故被害相談@池袋

死亡逸失利益の計算方法

  • 文責:所長 弁護士 田中浩登
  • 最終更新日:2021年8月16日

1 死亡逸失利益とは

死亡逸失利益とは、交通事故で亡くなった被害者が今後も生きていたならば得られたであろう収入(基礎収入)から、想定される今後の生活費を控除し、さらに就労可能年数に対応するライプニッツ係数を掛けた金額をいいます。

今後の生活費については、個別具体的に判断するのではなく、被害者の属性(性別や家族を扶養しているか)によってパーセンテージでの目安があり、修正すべき事情があればそこから増減されます。

2 具体的な計算方法

⑴ 原則

計算方法は、基礎収入額×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数となります。

基礎収入額、生活費控除率、就労可能年数の部分は、被害者の属性により異なります。

⑵ 基礎収入額

① 給与所得者

基礎収入額は、原則として事故前の収入を基礎として算出しますが、若年労働者(概ね30歳未満)の場合は今後昇給して収入が上がっていくことも加味すべきであり、賃金センサスの男女別全年齢平均の金額を用いて算出します。

② 事業所得者

原則として申告所得を基礎として算出しますが、申告額と実収入額が大きく異なる場合には、具体的に得ていた収入額が具体的に立証できればその金額をもとに算出します。

③ 家事従事者

家事従事者とは、家族のために家事労働を行う方のことを指し、一人暮らしで家事をしている方はこれにはあたりません。

家事労働に対する現実の収入はありませんが、基礎収入は賃金センサスの学歴計女性労働者の全年齢平均の金額をもとに算出します。

④ 無職者

学生や生徒、幼児は、賃金センサスの男女別全年齢平均の金額を基礎収入とします。

失業者は、労働能力及び労働意欲があり(就職活動を行っていたなど)、就労の蓋然性がある場合には逸失利益が認められ、その場合は特段の事情のない限り失業前の収入を基礎収入とします。

⑤ 高齢者

就労の蓋然性がある場合は、賃金センサスの男女別年齢別平均の金額を基礎収入として算出します。

年金を受給している場合、年金の性質によって基礎収入に含まれるものと含まれないものがあります。

例えば、裁判例では老齢国民年金や老齢厚生年金は逸失利益性ありとして基礎収入に含めますが、遺族年金は逸失利益性なしとされています。

⑶ 生活費控除率

① 一家の支柱

一家の支柱とは、家族の生計を支えている人のことを指し、男女問いません。

被扶養者が一人の場合は40パーセント、被扶養者が二人以上の場合は30パーセントとされています。

② 女性

主婦の方や独身の方、幼児を含めて、30パーセントとされています。

③ 男性

主夫の方や独身の方、幼児を含めて、50パーセントとされています。

⑷ 就労可能年数

就労可能年数は、原則として67歳までで、死亡時に67歳を超えていた方については、簡易余命表の平均余命の2分の1、死亡時の年齢から67歳までの年齢が平均余命の2分の1より短くなる者も同様に平均余命の2分の1とされます。

なお、年金の逸失利益を計算する場合は、67歳ではなく平均余命までの年数とします。

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