有給休暇を使った場合に休業損害を請求することはできますか?
1 有給休暇も休業損害として請求できる
⑴ 交通事故に遭ってしまった場合,被害者は,保険会社に対して,事故によって生じた損害を賠償請求することができます。
ここでいう「損害」とは,典型的には,①事故のせいで支出を余儀なくされたもの(マイナスになったもの)や②事故がなければ得られたはずのものが得られなくなってしまったもの(プラスのはずがゼロになったor減ってしまったもの)をいいます。
⑵ すると,有給休暇を使用した場合は,給料は目減りすることなく満額もらっている(マイナスはない)ということで,休業損害は発生しないと誤解されている被害者の方もいるようです。
⑶ しかし,もし事故がなければ,その有給休暇は,被害者の判断で自由に使うことができたはずのものです。
そのため,裁判所の考え方では,有給休暇自体に財産的な価値があり,それを事故のために使用してしまった場合にも,休業損害を認めると判断しています。
2 有給休暇の休業損害の計算方法
⑴ 有給休暇の休業損害の金額は,会社に作成・発行してもらう休業損害証明書の記載にしたがって計算されるのが一般的です。
⑵ 休業損害証明書中の,事故前3か月の総支給金額を90日(3か月)もしくは3か月間の稼働日数で割って日額を計算し,有給休暇を使った日数を掛け合わせたものが休業損害となります。
3 休業損害の請求漏れに注意
⑴ 有給休暇のように,本当は請求することができるのに,請求できないと誤解していて,本来もらえるはずの賠償をもらわずに示談してしまうことは少なくないようです。
⑵ 保険会社は,こちらが請求しない限り賠償金額に含めて計算してくれず,不親切な担当者だと,それが請求可能だという案内もしてくれないことがあります。
⑶ 有給休暇に限らず,示談する前に,何が請求出来て,何が請求できないか,一度弁護士に相談して確認することをおすすめします。
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