非器質性精神障害は後遺障害として認定されますか?
1 非器質性精神障害とは
交通事故による非器質性精神障害とは、脳に外傷を負ってしまった高次脳機能障害とは異なり、外傷を伴わない精神障害のことをいい、交通事故によるうつ病やPTSDなどのことを言います。
非器質性精神障害は、画像上の所見がなく、被害者本人の自覚症状のみであることがほとんどであり、また、事故直後ではなくしばらく経ってから認識されるものが多いため、その存在を証明するのはかなり難しいものになります。
2 非器質性精神障害の後遺障害等級
非器質性精神障害が交通事故によって生じたものと認定され、後遺障害等級に該当すると判断された場合には、自賠責保険から保険金が支払われます。
非器質性精神障害として認定される可能性がある等級としては、別表第二第9級10号、同12級13号、同14級9号が考えられます。
「通常の労務に服することができるが、非器質性精神障害のため、就労可能な職種が相当な程度に制限されるもの」が9級10号、「通常の労務に服することができるが、非器質性精神障害のため、多少の障害を残すもの」が12級13号、「通常の労務を服することができるが、非器質性精神障害のため、軽微な障害を残すもの」が14級9号とされています。
3 非器質性精神障害の後遺障害等級の認定について
上記のとおり、非器質性精神障害についても後遺障害等級の認定の可能性はありうるものとなります。
もっとも、画像所見等で障害がわかる高次脳機能障害とは異なり、主に自覚症状のみの非器質性精神障害については、後遺障害として認定されることは非常に少ないといえます。
交通事故によって非器質性精神障害が生じたといえるためには、交通事故以外の仕事や日常生活で精神障害を抱えるようなストレス等の要因がないかどうかや、非器質性精神障害が一年以上継続して改善の見込み長いものなのかどうかなどが厳密に判断されることになります。
そのため、交通事故による非器質性精神障害として認定されるためには、医師による明確な判断や継続した通院が必要不可欠と言えるでしょう。
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