家族の借金について弁護士に相談できますか?
1 家族の借金が発覚した場合
配偶者や親、子など、家族に借金があることが判明した場合、どうしたらよいのでしょうか。
借金をした本人が返済していければ問題ないのですが、必ずしも、返済していけるとは限りません。
そこで、借金を解決する方策として、いわゆる債務整理を行うことが考えられます。
2 家族による相談の可否
では、借金をした本人以外の家族が、借金に関する相談を弁護士にすることができるのでしょうか。
結論からいうと、できません。
借金の問題は、個人情報に関わることですし、あくまでも個人の問題です。
弁護士には守秘義務があるため、たとえ家族であっても、許可なく教えたりすることは禁止されています。
3 家族による相談を可能にする方策はないのか
上記のとおり、弁護士としては、家族からの相談には応じられないというのが基本的な回答となります。
では、家族による相談もできるようにする方法はないのでしょうか。
例えば、本人が家族に対し委任状を渡し、家族が委任を受けたとして相談するということも考えられます。
しかしながら、委任は本人の意思に基づいていることが必要ですので、本人の意思によるものなのか確認する必要が生じます。
また、債務整理といっても、任意整理、個人再生、自己破産などといった方法があり、どの方法を選ぶのか、最終的には本人の意思によるところが大きいものです。
そのため、委任状だけで手続を進めることもできませんので、やはり、本人抜きで家族のみでの相談は難しいといえます。
4 借金が家族への影響を与えるのか
家族による相談が難しいとなると、本人が債務整理に消極的な場合、借金を解決することは難しくなってしまいます。
とはいえ、借金が家族の生活にも影響を与えないか不安になるのではないでしょうか。
たしかに、借金返済のために使える生活費が減少するなどの事実上の影響が及ぶことは否定できません。
しかしながら、基本的には、借金の保証人になっていない限り、たとえ配偶者、親、子という関係にあって、本人が支払いすることができなくなったとしても、本人に代わり自身が返済義務を負うことはありません。
ただし、「借金の保証人になっていない限り」と記載したとおり、保証人になっている場合には、本人が返済できなくなった場合、保証人として返済義務を負うことになります。
また、本人が完済する前に亡くなった場合、遺産として借金を相続することがあります。
そのため、上記のような場合には、相続放棄などを検討する必要があります。
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