「債務整理」に関するお役立ち情報
債務整理とクレジットカードの現金化
1 クレジットカードの現金化とは
債務整理をお考えの方の中には、新規で借り入れができなくなってしまったため、クレジットカードを現金化して当面の支払に充てようとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ご存知のとおり、クレジットカードには、ショッピング枠というものがあります。
ショッピング枠というのは、買い物をするために利用するものですが、クレジットカードの現金化とは、ショッピング枠を現金に換える方法をいいます。
現金化の方法として認知されているのは、主に2つあります。
2 クレジットカードの現金化の方法
⑴ いわゆる買取式
いわゆる買取式とは、例えばクレジットカードで、質屋や金券ショップで金券や新幹線のチケット、家電製品、ブランド品など換金率の高い商品を買い、それを売却して現金を手に入れる方法をいいます。
1人で行なうことができますので、手軽な方法として知られています。
⑵ いわゆるキャッシュバック式
いわゆるキャッシュバック式とは、例えばインターネットなどでクレジットカード現金化の広告を出している業者に依頼して、その業者が勧める安い商品を高額で購入し、その業者が定める還元率に基づいてキャッシュバックを受け現金を得る方法をいいます。
この方法は、業者が行っていることがほとんどですので、1人で気軽にできるものではないでしょう。
3 クレジットカードの現金化が債務整理に与える影響
⑴ クレジットカードの現金化はそもそも利用規約違反
債務整理には、基本的には、任意整理、個人再生及び自己破産の3つの方法があります。
クレジットカードの現金化は、これらの債務整理にどのような影響を与えるのでしょうか。
そもそも、クレジットカード会社は、利用規約でクレジットカードの現金化を明確に禁止しています。
クレジットカード枠の現金化は、クレジットカード会社の利用規約に違反する行為であり、本来行ってはいけません。
規約違反となる場合は、クレジットカード契約を強制的に解約させられたり、一括返済を求められたりする可能性もあります。
⑵ 任意整理に与える影響
任意整理は、個別に各債権者と将来の利息をカットしてもらい、長期の分割で返済するという内容で交渉して合意し、その合意に基づいて返済していくという手続です。
各債権者との交渉にあたっては、信頼関係が重要になりますので、クレジットカード会社は、規約違反に当たるクレジットカードの現金化に対しては厳しい態度を取ってきます。
高額な利用をしてほとんど返済していないようなケースの任意整理は、利息がカットできなかったり60回などの長期の分割にできなかったりする可能性が高くなります。
そういった意味では、任意整理をする際に多少なりとも悪影響が出る可能性があります。
⑶ 個人再生に与える影響
個人再生は、自己破産と同様に、裁判所を通じた法的債務整理になります。
自己破産には免責不許可事由という制度があり、クレジットカードを現金化した場合手続上問題になるのですが、個人再生には自己破産のように免責不許可事由に関する法律上の規定はありません。
また、個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等個人再生の2種類があります。
このうち、小規模個人再生は債権者の過半数の同意が必要になります。
もしクレジットカードを現金化した場合、そのクレジットカード会社が小規模個人再生手続に反対してくる可能性が出てきます。
そういった意味では、個人再生にとっても悪影響がないとはいえないでしょう。
⑷ 自己破産に与える影響
自己破産は、個人再生と同様に、裁判所を通じた法的債務整理になります。
自己破産は、法律で免責不許可事由が定められており、クレジットカードの現金化をしてしまうと、この免責不許可事由に当たる可能性があります。
裁判官の判断で裁量免責がされる場合もありますので、必ず免責不許可になるというわけではありません。
ただし、免責不許可事由に当たる可能性があるため、管財事件として扱われる可能性が非常に高くなります。
裁判所が破産管財人を選任して調査をさせるため、裁判所に納める予納金が高くなったり、郵便物が管財人に転送されたりするというデメリットがあります。
このように、自己破産は、任意整理や個人再生に比べて、クレジットカードの現金化が与える悪影響が最も大きいといえるでしょう。
4 まとめ
クレジットカードの現金化は、銀行や貸金業者から借入れができなくなってしまった方にとっては、すぐに現金が入るので魅力的に感じてしまうかもしれません。
しかし、結局のところ、得をするのはクレジットカードの現金化を扱っている業者ですし、その現金を使ってしまえば残っているのは新たな借金です。
クレジットカードの現金化をしなければ借金の返済ができない、あるいはすでにクレジットカード枠の現金化をしてしまっているという方は、債務整理を検討した方がよいかと思いますので、一度弁護士にご相談されることをお勧めします。
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