「債務整理」に関するQ&A
どこから借りたか覚えていなくても債務整理できますか?
1 どこから借りたか覚えていないことはよくあります
債務整理をするにあたって、昔の借金のことなのでどこから借りていたか忘れてしまった方や、全ての貸金業者の名前を覚えていない方からのお問い合わせも少なくありません。
債務整理には、任意整理、個人再生、自己破産といった手続があります。
ご相談の際に、どの債務整理の手続を選択するかを決めるにあたっては、債務総額がいくらなのか、債権者ごとに残債務がいくらあるのかを確認する必要があります。
2 債務総額などがわからないと債務整理の方針が決められない理由
例えば、3社から合計150万円の借り入れがあると思い、それであれば少なくとも5年払いなら支払い可能であると考えて任意整理を選択したとします。
しかしながら、後日、その3社以外の別の金融業者から督促状が届き、調べてみたら、実は7社から総額900万円を超える債務があることが判明したとします。
このような場合、任意整理で分割払いしていくことはほぼ不可能になってしまいます。
したがって、任意整理から自己破産に方針を変更しなければならなくなります。
そのため、方針を決めるにあたって、どこからいくら借りているかは必ず確認する必要があります。
3 貸金業者の特定方法
どこからお金を借りていたか忘れてしまった場合でも、信用情報機関に問い合わせることで取引があった貸金業者を特定することができます。
信用情報機関とは、個人の信用情報を収集・管理・情報提供している組織です。
個人の信用情報とは、勤務先や年収、クレジットカードやキャッシングなどの利用状況、借入・返済、滞納の有無などの取引状況などをいいます。
クレジットカードを利用したときやローンを組んだときなどには必ず信用情報機関に情報が登録されます。
また、クレジットカード会社や消費者金融、銀行などは、個人と取引をする際、信用情報を確認して、取引相手の返済能力や信用度を審査しています。
株式会社シー・アイ・シー(CIC)、株式会社日本信用情報機構(JICC)、全国銀行個人信用情報センターに信用情報の開示をすれば、情報が分かります。
貸金業者はどこかひとつの信用情報機関に加盟している業者もあれば、複数の機関に加盟している業者もあります。
4 各信用情報機関の特色
- ⑴ シー・アイ・シー(CIC)
- シー・アイ・シーの主な登録会員は、クレジットカード会社と信販会社です。
- ⑵ 日本信用情報機構(JICC)
- 日本信用情報機構の主な登録会員は、消費者金融と信販会社です。
- ⑶ 全国銀行個人信用情報センター(JBA)
- 全国銀行個人信用情報センターの主な登録会員は、銀行と銀行系カード会社などです。
5 信用情報開示の申込み方法
情報開示の手続には、ウェブ、郵送、窓口に行く方法があります。
ウェブの場合、手数料はクレジットカード払いで、電話番号により本人確認をおこないます。
情報開示は、原則として本人の意思に基づいてのみおこなえます。
情報開示請求ができるのは、本人か本人が委任した代理人、法定代理人、本人が死亡した場合の配偶者か二親等以内の血族か連帯保証人のいずれかに該当する人です。
そのため、基本的には、ご自身で信用情報を取り寄せていただく必要があります。
すでに他の弁護士や司法書士に依頼していてもお願いできますか? 裁判所からきた郵便物を無視することはできますか?