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弁護士法人心 池袋法律事務所

不動産しかない場合の遺産分割方法

  • 文責:所長 弁護士 田中浩登
  • 最終更新日:2024年10月30日

1 遺産分割の方法

遺産分割の具体的な方法としては、①現物分割、②代償分割、③換価分割、④共有分割の4種類があります。

優先順位としては、まずは現物分割を検討し、それが難しい場合には代償分割、換価分割、共有分割の順に検討することになります。

遺産に不動産しかない場合も、この4種類の分割方法を検討することになります。

以下で、それぞれの遺産分割の特徴をご説明いたします。

2 不動産を現物分割する場合

現物分割とは、個々の財産の形状や性質を変更することなく分割する方法をいいます。

不動産の場合、土地又は建物の一部を分筆、区分して分割するケースもあります。

この場合、そもそも分割が可能であるのか、分割した後の不動産が違法状態にならないのかについて注意する必要があります。

例えば、土地の場合、自治体によっては条例によって最低敷地面積が定められているケースがあり、現物分割しようとしても分割後の土地の面積が最低敷地面積を下回ってしまう場合には分割ができません。

不動産の現物分割する場合には、法令や条例との関係で分割が可能であるかをまず確認しておく必要があります。

3 不動産を代償分割する場合

代償分割とは、一部の相続人に法定相続分を超える財産を取得させたうえで、他の相続人に対して代償金を支払う債務を負担させる分割方法をいいます。

代償分割についてよくある質問をまとめておりますので、こちらもご参照ください。

代償分割は、資力のある相続人が不動産の取得を希望するような場合に有用な分割方法といえます。

一方で、代償分割をするには、代償金支払債務を負担する相続人に資力があることが必要となりますので、相続人に資力が無い場合には採り得ない分割方法となります。

また、不動産を代償分割する場合、その不動産の評価額がいくらになるのかによって、代償金の金額が変わってくるため、不動産の評価額を巡ってトラブルになるおそれがあります。

4 換価分割を検討するケース

換価分割とは、遺産を売却等で換金した後に、相続人に価格を分配する分割方法となります。

例えば、遺産に不動産があるものの、相続人が誰も取得を希望しない場合や、誰も代償金を負担する資力が無いような場合に、不動産を売却して売却代金を相続人で分配するケースがあります。

5 共有分割について

共有分割とは、現物分割、代償分割、換価分割のいずれもが難しい場合で、相続人が共有を希望しているような場合に、遺産を相続人で共有するという分割方法です。

共有の場合、共有物の管理をするためには、共有者の持分価格の過半数の賛同を得る必要があります。

また、共有物の処分をするためには、共有者全員の賛同を得る必要があります。

例えば、共有の不動産を第三者に賃貸する場合には、共有者の持分価格の過半数の賛同を得る必要があります。

また、共有の不動産を処分する場合には、共有者全員の同意が必要となります。

このように、共有分割にする場合、一旦は不動産の遺産分割としては完了するものの、その後不動産を処分ないし管理する場合に、都度他の相続人と協議しなくてはならなくなり、不動産の処分・管理の手続が煩雑になります。

したがって、共有分割は、相続人全員が遺産の不動産の取得を希望しており遺産分割協議がまとまらない場合にはやむを得ない手段といえますが、可能な限り避けるべき分割方法かと思います。

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