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弁護士法人心 池袋法律事務所

遺産分割における不動産評価の重要性

  • 文責:所長 弁護士 田中浩登
  • 最終更新日:2024年3月19日

1 納得性のある遺産分割を実現するためには不動産評価が不可欠

相続人が複数人いる場合、相続人間で公平性を確保するため、多くの場合において法定相続割合で相続財産を分割します。

このとき、仮に相続財産が現金と預貯金だけであれば、あまり問題はありません。

例えば、相続人が子2人であり、相続財産が2000万円の預貯金だけであれば、各相続人がそれぞれ1000万円ずつ取得することで公平性を保つことができます。

しかし、相続財産が自宅不動産と1000万円の預貯金であった場合には、自宅不動産の評価額が問題になります。

もし自宅不動産の評価額が1000万円と決まっているのであれば、片方の相続人が自宅不動産を取得し、もう一人の相続人が預貯金を取得しても、公平性は保たれます。

ところが、不動産の評価の仕方にはいろいろな方法が存在し、評価の仕方によって評価額が大きく異なります。

そのため、公平性のある遺産分割を実現するためには、様々な不動産評価法を検討したうえで、相続人間で納得性のある不動産評価額を採用し、遺産分割協議を行う必要があります。

相続財産に不動産が含まれており、その不動産を特定の相続人が取得する場合には、代償分割という遺産分割の方法が用いられることが多いです。

以下、相続財産に不動産が含まれる場合の代償分割の具体例と、不動産の評価方法について説明します。

2 相続財産に不動産が含まれる場合の代償分割

代償分割とは、特定の相続人が不動産を取得し、その不動産の評価額とその相続人の法定相続分に差額がある場合、差額分を他の相続人に支払ったり、逆に差額分の支払いを受けるという遺産分割の方法です。

相続人が子2人、相続財産が自宅不動産と1000万円の預貯金、片方の相続人が自宅不動産を取得する場合で考えてみます。

自宅不動産の評価額が1200万円である場合には、もう一人の相続人が預貯金をすべて取得し、かつ自宅不動産を取得する相続人がもう一人の相続人に100万円を支払うことで、各相続人が1100万円分の相続財産を取得することになり、公平性が保たれます。

自宅不動産の評価額が800万円である場合には、もう一人の相続人が預貯金をすべて取得し、かつ自宅不動産を取得する相続人に対して100万円を支払うことで、各相続人が900万円分の相続財産を取得することになり、公平性が保たれます。

代償分割においては、不動産の評価額をいくらにするかで、誰から誰に代償金を支払うのか、そのときの代償金はいくらになるのかが変わってきます。

3 不動産の評価方法

実務において一般的に用いられる不動産の評価額には、固定資産評価額、(土地の場合)路線価、公示価格、市場価格があります。

市場価格は、不動産業者等に査定を依頼した際に提示される金額であると考えて差し支えありません。

一般的には、固定資産評価額が最も低く、路線価、公示価格、市場価格の順に高くなる傾向にあります。

どの評価額を採用するかについては、相続人間での話し合い等で決めることになりますが、代償分割を用いる場合には不動産の評価額が低いほど不動産を取得する相続人が有利になります。

そのため、固定資産評価額と市場価格の平均値を評価額として代償分割をするということもあります。

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