清算価値保障とは
1 個人再生では清算価値以上の金額を弁済する必要がある
個人再生手続きには清算価値保障原則というものがあります。
まず、清算価値とは、その人が保有している財産のことで、仮にその人が破産したときに手放すことになる財産の金額ということもできます。
清算価値保障原則とは、個人再生した場合に少なくとも清算価値以上の金額を弁済しなければならないとする原則です。
一般に個人再生手続きは借金が5分の1まで減る、といった説明がされることが多いですが、それ以上に清算価値がある方の場合だと、返済することになる金額は清算価値がベースになります。
2 なぜ清算価値保障原則があるのか
個人再生は財産を手放すことなく、借金の額だけを大幅に減額することを認めるという債務者にとって非常に有利な手続きです。
裏を返せば、債権者としては嬉しくない手続きということになりますが、それでも自己破産されてしまうよりは、ある程度返済してもらえる以上これを受け入れるメリットもあるわけです。
しかし、清算価値保障原則がなくなってしまうと自己破産してもらった方が得だという状態が生じるケースがあります。
なぜなら、先述のとおり清算価値とは自己破産した場合に手放すことになる財産の金額なので、債権者としては自己破産してもらえば清算価値分の返済は受けられることになる以上、これを下回る金額しか返済されないのでは自己破産してもらった方が良いということになるからです。
このような理由から、個人再生には清算価値保障原則があるのです。
個人再生において再生委員がつかないケース 個人再生と自己破産の違い