公正証書遺言を作成する場合の流れ

まず、作成する内容は遺言者が決めなければならず、他人からアドバイスや提案があったものであっても本人が納得している必要があります。

そして、もし自分の望む遺言書の内容に法律上の問題がないか不安な場合は、この時点で弁護士に助言を求めることができます。

弁護士は相続の紛争問題に対応できるため、どのような部分が争点になりやすいのかを熟知しており、そういった観点から内容面に問題のない遺言の作成をサポートできます。

作成した遺言がトラブルの火種になることを防ぐためにも、弁護士への依頼はこの時点で行うことをおすすめします。

また、公正証書遺言を作成する場合、後の準備や、遺言書に書かれる財産の額によって手数料が異なりますので、あらかじめどれほどの財産があるのか把握しておくとよいです。

参考リンク：日本公証人連合会・公正証書遺言の作成手数料は、どれくらいですか？

公正証書遺言は公証役場で公証人により作成されますが、その際に提出を求められる書類があります。

例えば、遺言者本人の印鑑登録証明書（これに代えて本人確認できる書類なども求められることがあります）、遺言者と相続人の続柄が分かる資料（戸籍や除籍謄本）が挙げられます。

戸籍謄本類は、市区町村役場の窓口または郵送で入手できます。

参考リンク：豊島区・戸籍に関する証明

この他に、相続人以外の者に贈与する場合は住民票など住所が分かる資料、法人に相続する場合は登記事項証明書（あるいは代表者事項証明書）、不動産を贈与する場合には、その登記事項証明書といった書類などが挙げられます。

上記のとおり、書く遺言書の内容に応じて求められる書類は異なり、上記の例も事案によっては異なる資料を要求されます。

また、公正証書遺言を作成する場合は、証人が２人必要になりますが、証人を公証役場に用意してもらわずに、自分で用意する場合はその名前や住所、生年月日といった特定できる情報をメモしておくとスムーズに準備を行うことができます。

公正証書遺言は公証人により作成されますので、公正証書を作成してもらう公証人に担当としてついてもらいます。

公証役場は基本的にどこでもいいですので、ご自身が一番都合をいい場所を選ぶとよいです。

一応、当日に行っても作成してもらえる場合もありますが、公証人は多忙なうえ、原則予約者が優先されます。

また、公証役場によっては当日予約お断りとしている場合もありますので、事前にメールやネットの予約フォームを使って予約することをおすすめします。

上記１や２で作成した遺言書の内容についてのメモ及び準備した必要書類を公証人に提出して、公証人が遺言書案を作成します。

この打ち合わせは公証役場に行かずとも、メール等でやり取りすることができます。

この際に、必要書類等が抜けている場合は、公証人から指示がありますので、必要書類を追加します。

公証人が作成した遺言書案に納得すれば次の段階に進みます。

もし、修正箇所があった場合はその旨を公証人に伝え修正を反映してもらいます。

遺言書案が完成し、必要書類が揃った段階で公正証書遺言の作成日を決定します（案件によっては既に決まっている場合もあります）。

遺言者が公証役場に行かずとも、公証人が公証役場以外の場所に出張してもらえる場合もありますので、公証人との打ち合わせではその点も含めて決めることになります。

まず、遺言者が公証人に対し、遺言の内容を証人らの前で告げます。

公証人は、それが判断能力を有する遺言者の真意であることを確認し、公正証書遺言原本を、遺言者と証人らに読み聞かせるか閲覧させて、遺言の内容を確認します。

内容に間違いがなければ、遺言者および証人らが、原本に署名、押印をします。

そして、公証人が、原本に署名、押印することによって、公正証書遺言が完成します。

公正証書遺言が完成すると、原則、原本は公証役場で保管され、遺言者本人には、正本と謄本が交付されます。

そして、手数料をお支払いすることになります（支払時期については事案によって前後する場合もあります）。

こうして公正証書遺言作成の手続きは終了します。

参考リンク：日本公証人連合会・公正証書遺言は、どのような手順で作成するのですか？